関東弁の特徴のひとつに「に」の省略があります(大津由紀雄 96)。つぎの例文をみてください。 (1)
(1b)は(1a)の「に」を省略した形です。文法的です。このように関東弁では「に」を省略しますが、かならずしも「に」を省略できるわけではありません。次の例文をみてください。 (2)
(2b)は非文になります。「新宿に」という方向をあらわす語句がはいると「に」は省略することができなくなってしまいます。これは英語のto不定詞の省略と並行的です。次の英文をみてください。
(3b)は(3a)のto不定詞を省略したものですが、口語では文法的です。しかし、次の場合はto不定詞を省略することはできません。 (4)
(4b) が非文になっているのは(4a)のto不定詞が省略されているからです。goとto eat の間に別の語句が入るとto不定詞の省略は不可能になってしまいます。これは日本語の(2b)と並行的です。 |