1. 美しい言葉「おはようございます」
昭和四十年一月、NHK 総合放送艺术探讨所が『美しい言葉』をテーマに全国の有識者五百人を対象に調査を実施した。では、その内容に移る。 まず、「日本語の中では美しい言葉だとお考えになった言葉があったっら挙げてください」という質問した。この回答の中の一つ、二つをご紹介すると、こういったことが指摘されている。「美しい言葉とは、美しく話された言葉だと思う、それは相手に明るい,日语论文,晴れやかな、和やかな、調和的な印象を与え、相した心象を呼び起こす言葉だと思う。」「美しい心、真心のこもった心で話される言葉は美しい」など。 また「美しい言葉として特定の単語を挙げてください」という項目がある。調査データによると八百五十二語、延べ語数にすると千二百語に上る。これを、最も多くの人が挙げた順序から並べてみたのが次である。 「ありがとう さよなら はい おはようございます さわやか わたくし あなた さよなら( 略) 」。 「おはようございいます」は美しい言葉として上位にあるのは、簡単な挨拶言葉だが、愛情をもって心をこめ、いたわり、和の心をもって発せられた言葉だと思われるからである。日常、ごく普通に交わすあいさつの一言にも、私達は相手の心遣いをさりげなく感じ取っているものである。こういう言葉は、それを発する人の優しさ、あるいは行き届いた気持ちといったようなものをしのばせるに足るような言葉である。 2. 「おはようございます」の語源由来 おはようの語源は、「お早く○○ですね」などの「お早く( はやく) 」である。この 「お早く」が転じて、「おはよう」となった。また、「おはよう」はその日初めて会った人に言うことから、一部の業界では夜でも人に会った時の挨拶として「おはよう」を用いる。 『語源由来辞典』にこのように説明している。自分より早くその場所にいた人に対して「お早くお着きでございますね」が略されたものといわれている。つまり、「おはようございます」は「早く起きましたね」「早くつきましたね」の省略形式で、相手の早起きと勤め励む姿への称賛である。 「おはようございます」は「お」+ 「はよう」+ 「ございまいます」の三つの部分から成り立つ。実は、この三部分は、それぞれ異なる文法を含めている。略论は以下のようである。 「お」は敬語の接頭語である。相手や第三者に対する敬意を表す。そして、丁寧の意を表し、上品に表現する。 「おはようございます」では形容詞の前に「お」接頭語を加えることによって、相手に対する丁寧の意を表す。 「はやう」は「早い」という単語から転じてきた。「早い」のあとに「ございます」を加えるとき語末で起こった連音変化のことである。敬語体系において近畿方言の強い影響を受けたため、「美しゅうございます」「うれしゅう存じます」のように「ございます」「存じます」に接続する場合に限ってウ音便を用いる。この規則によって、「早い」の「や」は「お段」に変わり、「よ」になる。「よ」のあとに「う」を加えて、「はやう」になった。 「ございます」は「ござる」に「ます」が接続後、音便が発生してからなるものである。「ござる」この単語はそもそも敬語動詞である。尊敬語として使うとき「いく」「来る」「いる」「ある」の尊敬語である。現在この用法はあまり使われなくなった。ここでの[ございます]は丁寧語である。 3. 日本艺术と独特な表現 日本に長い間生活した人はこういう現象を察することができるだろう。「おはようございいます」は時間に関わらず、一日中に使える。もう一つの不思議な現象は、「おはようございます、お早いんですね」という言葉をよく耳にする。この言い方は理論的には絶対にありえない言い回しだが、日常会話ではこの用法は根付いておる。外見上も重複し、文字通り同じ言葉が繰り返し二度出てきているが、絶対に誤りだとは言えない。「おはようございます」は朝の挨拶であり、その人にとって早いかどうかは別に問題外である。この語は、意味から考えば、不適当だが、誤りとはいえなくなった。 |