ある1つの自動詞(あるいは他動詞)に対して2つ(以上)の他動詞(あるいは自動詞)が対応している場合がある。これをフォーク型対応と言う。自動詞を左側に、他動詞を右側に置いたとき、右に開くようなフォーク型対応を右フォーク型と言うことにしよう。(あとで述べるが、左フォーク型もある。) つながる < つなぐ tunagARU < tunagU (1) つなげる tunagERU (2) この例では「つながる」という自動詞に「つなぐ、つなげる」という2つの他動詞が対応している。「つながる:つなぐ」の対応は(1)のパターンであり、「つながる:つなげる」の対応は(2)のパターンである。 ◎フォーク型対応の場合の助詞の対応 --「つかまる:つまむ、つかまえる」を例に-- 次の例「つかまる:つかむ、つかまえる」もフォーク型対応である。 つかまる < つかむ tukamARU < tukamU (1) つかまえる tukamAERU (その他) この例では、他動詞「つかむ」と「つかまえる」は使い分けられている。このような場合、自他の対応が二組考えられる。「つかまる:つまむ」と「つかまる:つかまえる」である。また漢字で書くときは、異なる文字を使う。 「つかまる:つまむ」は「に-を」の対応をする。漢字は「掴」を書く。 自動詞 例 他動詞 例 つかまる 吊り革につかまる つかむ 吊り革をつかむ 「つかまる:つかまえる」の対応はどうなっているか、次に調べてみよう。なお、この場合、漢字は「捕」を書く。 自動詞 例 他動詞 例 つかまる 泥棒が巡査につかまる つかまえる 巡査が泥棒をつかまえる 助詞の対応を調べるには、同じ名詞に付く格助詞を比較する。分かりやすくするために補語を1つずつにすると、次のようになる。 つかまる 泥棒が つかまる つかまえる 泥棒をつかまえる 巡査につかまる 巡査が つかまえる 「泥棒が」が「泥棒を」となっている。つまり、「が-を」の対応である。また、「巡査に」が「巡査が」となっている。つまり、「に-が」の対応である。つまり、「が-を」の対応と「に-が」の対応があるわけである。 「からまる:からむ」 「からまる:からむ」は、一見(1)のパターンの自他の対応と考えられる。しかし、用法をよく調べてみると、そうとは言えなくなってくる。 自動詞 例 他動詞 例 からまる 糸が棒にからまる からむ ? 糸が棒にからむ |