「ひんやり」は冷たい感触?雰囲気であるさまを表す.後半の文のいうとおりに、喉から麺の冷覚が感じられる.真夏で凉麺を喉からすすり込んだときの爽やかさを表现できる. (4)氷の上に盛られた鲤のあらい.一切れ口に入れるとひやっと舌に冷たい. 「ひやっと」も「ひんやり」と同じように、冷気を感ずるさまを表す.「ひんやり」よりさらに冷たい感じである. イ.痛覚 次に痛覚に関しては、例は以下のように. (5)タイ料理のエビのスープは、舌がひりひりするほど辛くて味がわからなくなる. 「ひりひり」は皮肤や粘膜が小刻みに刺されるような痛みや辛みを持続的に感ずるさまを表す.普通は唐辛子、キムチ、カレーのようなものを形容するときによく使う. (6)ミントのガムを噛んだあとは、口の中が息をするたびにすーすーする. 「すーすー」というのは、空気が出入りするたびに冷たく感じるようす.使える范囲は相対的に狭いのである.おもに、ミント成分の含む饴やガムなどを食べるときに使う. ウ.テクスチャー テクスチャーに関するァ∥マトペの数は厖大であるが、ここでは便宜上、二つだけ见てみよう. (7)この芋、いくら煮ってもがちがちで食えたもんじゃない. 「がちがち」というのは、异常に坚いさまを表す言叶である.芋というのは、もともと坚くても普通は时间をかけて煮ったら柔らかくなり、歯に切られる柔软度になる.しかし、ここでは、特例として、芋の异常な坚さを表现する. (8)纳豆はねばねばした糸が味のきめてなんだ. 纳豆の特质として、粘り気が强くて糸を引く.「ねばねば」は糸を引くような粘り気があるさま、またはそういうものを表す.だから、ここでは、口当たりがべたつく纳豆には「ねばねば」という语が最も适切であり、実际にもよくペアとして出现する. 2.2.2 聴覚 ここでの聴覚とは、ものを食べるときの歯切れ音や咀嚼音、あるいは喉ごしのよい食物がすすり込むときの音などである.すなわち、聴覚を表す食のァ∥マトペはすべて拟音语であること.例を挙げると、以下のようなものがある. (9)とりたての生牡蛎に、レモン汁をかけてつるつると食べるそのおいしさ. 生牡蛎の表面にレモン汁がかけてあるので、すべすべになるのである.だから、食べるときにも滑やかで、汁が舌と摩擦した音が必ず出る.その摩擦した音を言语音、つまりァ∥マトペで表すと、まさにこの「つるつる」である. (10)さくさくとりんごをかじる. 新鲜なりんごを食べると、水分が多いうえ、もろくて歯応えがいい.このときが発した音は、歯切れ音のことである、谁にも経験があるのが、人がりんごなどを食べているときに、その歯切れ音だけ闻いても、食べたくなるような、りんご自身の新鲜感が伝えられるのであろう. (11)せんべいをぱりっと噛む. 「ぱりっと」は硬くて薄いものを噛み砕くときの音を表す.せんべいはやや硬いので、噛むときに、音は必ずする.その音をまねしたものは、「ぱりっと」のような言叶である. 2.2.3 视覚 视覚で感じた食感覚のァ∥マトペは一番数少ないが、それはまだ食べていないうちに、目で见た食物の様子であるもの.すなわちその食物の形态である.字面通りに拟态语に入る.例を见ると (12)ご饭を冷蔵库に入れておいたらぽろぽろだ. 「ぽろぽろ」とは、軽いものが一つ一つ落ちるさま.または、ものの水分がなくなって小さな粒状にまとまっているさま.ご饭を炊きたていたときに、粘り気もあって、膨らんでいるようすに対して、冷えたご饭は、一粒一粒ばらばらで、粘り気が抜けたのである.ここでは接触を伴わずに完全に视覚の表现としてのァ∥マトペである. 2.2.4 复合感覚 1.3に述べたように、一つの语で、二つ以上の意味が含むというのが少なくない.ここでも、同じ语形で人间の复数の身体器官で感じたものを同时に表すことが可能である.以下の実例を见ながら详しく略论する. ア.「触覚―视覚」 (13)ぎっしりと诘まった新鲜でぷりぷりのカニ身. ここの「ぷりぷり」は视覚的体験か触覚的体験か、どちらに限定するのは难しい.目で捉える视覚感受としても弾力のあるようすが见られる上、歯応えとしての体験も表すことができる.视覚と触覚の感覚が相互に関わりあっていると见るべきであろう. さらに例を见ると、このようなものがある. (14)ボールに室温にもどしたバターと砂糖半量を入れ、白っぽくふんわりするまで木ベラですり混ぜる. |