韓国語子音の内部構造と音韻現象に関する研究 : エレメント理論をもとに この研究の目的は、エレメント理論をもとに韓国語の子音の内部構造を明らかにする... 韓国語子音の内部構造と音韻現象に関する研究 : エレメント理論をもとに この研究の目的は、エレメント理論をもとに韓国語の子音の内部構造を明らかにすることである。分節音の内部構造とは、それぞれの言語において個々の分節音がさらに小さな単位によりどのように構成されているのかを表すものである。エレメント理論で分節音の構成素として設定する一元的な「エレメント」という要素は、それ自体で発音が可能であるという点や、音韻現象とそれが起こる環境との因果関係を明確に提示できるという点、さらに自然言語にあり得ない分節音や音韻現象をも過剰に表示することがないという点で弁別的素性による内部構造表示に勝っていると言える。 韓国語の子音体系を構成するそれぞれの分節音がどのような内部構造で成り立っているのかについてこれまで活発な研究が行われてきたが、本稿では子音関連の音韻現象の略论を通じ、これまで異なる見解が出されてきた分節音の内部構造を再検討し体系的に表示することを試みた。論点となっているのは歯茎音および硬口蓋音の調音位置を表すエレメント、軟口蓋音の調音位置を表すエレメント、閉鎖音および摩擦音の激音・濃音の内部構造である。 2章では、エレメント理論と統率音韻論の基本理論を紹介した。特定の分節音を構成するエレメントを選定するためには、その分節音が関わる音韻現象の原理を略论する必要があるが、本稿では統率音韻論の「認可」と「統率」という概念をもとに論じた。 3章では、歯茎音と硬口蓋音の調音位置を表すエレメントについて論じた。本稿での結論は、歯茎音を構成するのは口蓋性を表すエレメントIであり、このIがヘッドとして機能すると硬口蓋音になる。歯茎閉鎖音がIを持つ母音と音節を構成する際に制約があることや、歯茎鼻音と流音が漢字音の語頭に現れないことなどは、OCPにより同じエレメントIを持つ分節音は並ぶことができないものと略论した。また口蓋音化やㄴ添加などの音韻現象は、後続母音から拡散したエレメントIによるものと見ることができる。反対に、母音/ㅡ/が通時的に歯茎音や硬口蓋音の後ろで/ㅣ/に変化した現象は、エレメントIが後続母音に拡散したことによると説明できる。 4章では、軟口蓋音が無標的な位置で調音されることから、調音位置を表すエレメントはないものと見るべきなのか、それとも何らかのエレメントで表示されるべきなのかが論点になった。本稿では、内部構造において空いている位置がある場合そこを埋める役割を果たすエレメントが必要であることを論じた。韓国語の調音位置同化現象が軟口蓋音には起こらない理由として、空いている位置を埋めるエレメントが削除されないことをあげることができる。さらに、Iを持つ母音の後ろで起こった通時的なㄱ脱落現象が、語彙的な母音では起こらず挿入された接辞でのみ起こった事実からㄱには挿入された音節核と同じエレメントで埋まっていると結論付けた。さらに、漢字音の語頭で軟口蓋鼻音や軟口蓋閉鎖音が脱落したり弱化したことや、不規則活用が軟口蓋閉鎖音では起こらないことも、特定の特質を表すエレメントとは別に、空いている位置を埋める役割をするエレメントが存在することの根拠となる。 5章では、平音・激音・濃音を異ならせる要素がヘッドにあることを論じた。激音や濃音では複数のエレメントHが内部構造で複合的な構成を成すというこれまでの主張とは異なり、平音・激音・濃音はみな同じエレメントを持っているがそれぞれ何をヘッドとするかで区別されると解析した。音節末子音の中和現象は、それぞれのエレメントがヘッドではなくなることによるものである。オンセット間の統率関係を成立させるために起こる濃音化はエレメントʔにヘッドの資格を付与することによる現象、激音化はヘッドであるエレメントHが痕跡を残しつつ削除されることによる現象であると略论した。 この研究では、韓国語子音の内部構造を構成するエレメントとして、調音位置を表すI、U、Aの他に空いている位置を埋める@が必要であると主張した。また、調音措施を表すH、L、ʔのうちHに重点を置いて論じた。韓国語の子音体系のうち、まだ音韻現象における原理が完全に解明できていない流音や、韓国語ではヘッドになることがないエレメントLにより構成される鼻音についてはさらなる研究が必要である。 ,韩语论文范文,韩语论文范文 |