本論文では時間の位置や関係、即ち時間の時点、時域、順序、持続、瞬間、頻度、変化などを表す語彙を「時間語」と設定し、韓国語と日本語の時間語における辞...
本論文では時間の位置や関係、即ち時間の時点、時域、順序、持続、瞬間、頻度、変化などを表す語彙を「時間語」と設定し、韓国語と日本語の時間語における辞書上の意味、述語との共起関係、また時間語に対する時間の認識の差を設問調査を通して考察することを研究目的とする。研究の対象とする時間語は、発話時を含む時間語「最近」と ‘최근’、発話以前を表す時間語「さっき」と ‘아까’、発話以後や事件発生時以後を表す時間語「後で」と ‘나중에’、時間的な量において比較的少ない時間を表す
「しばらく」、「少し」、「ちょっと」、「少々」と ‘잠깐’、‘잠시’、‘조금’、‘좀’、一定の間隔をおいて反復する時間帯を表す「朝」と ‘아침'の日本語、韓国語各8つの時間語にした。
まず述語との共起関係を調べるにあたって金田一春彦と藤井正の動詞分類をもとにして考察することにした。また本論文では「~ている」と ‘-고 있다’、「した」と ‘-했다’との関係のみを扱うことにし、考察をした。
まず、「最近」と ‘최근’を見ると、時間の展開性のない「似ている」、‘닮았다’や「そ
びえている」、‘우뚝 솟아 있다’のような状態動詞とは共起しない。それは時間的な過程を経て変化するものでないからである。
韓国語の場合、‘입다, 신다, 매다, 쓰다, 끼다’のような着用を表す動詞が ‘-고 있다’形として使われる場合、動作完了の結果を表すため ‘최근’と共起し、また、瞬間的に行われる述語が使われる場合、反復相の意味を持つ場合には ‘최근’と共起する。しか
し、瞬間的に行われる動詞であると言っても ‘벼락에서 사람이 떨어진다’のような一回的に起こる出来事では ‘최근’とは共起しない。
一方、日本語においては日本語自体が持っている特有の用法、即ち先行する時点において運動の完成性と設定時点における運動の直接的結果または間接的効力の持続性の両面を複合的に理解するという、いわゆる「パーフェクト」の用法があるため「最近」と「動作動詞+~ている」形とは共起する。
「さっき」と ‘아까’の場合を見ると、過去の事象において述語として継続動詞且つ非結果動詞が使われる場合「さっき」、‘아까’の両方とも共起するという点では一致した。しかし、述語の意味を考えると、‘-었-’形の意味は元々「過去」と「完了」の両方として解釈されるため、述語に ‘읽었다’が入っても、進行の意味はないが、「読んだ」の場合は「パーフェクト」の用法のため「した」と「している」が密接な関係があり、進行の意味も持っていることが分かった。
また、「後で」と ‘나중에’の場合を見ると、発話時が基準になって話が展開される場
合、未来に起こる出来事や未来にする行動について使われるという点では同じ性質を持っている。しかし、‘나중에’は発話時が基準になったとしてもその後すぐに実現しにくい出来事、例えば ‘결혼하다’、‘떼돈 벌다’、‘자라다’などの動詞が入ると自動的に遠い未来まで表すことができるが、「後で」の場合は発話時が基準になると遠い未来までは表すことができないことが分かった。また、「後で」と ‘나중에’は両方とも拒絶を促す意味を持っているが、‘나중에’はその後ろに具体的な動詞述語が入ったとしても拒絶の意味を表すことができるが、「後で」の後に具体的な動詞述語が入ると近い未来の出来事を表す性質が強いため一時的にその場を避けようとする意味では使用できても拒絶の意味としては使用されにくいことが分かった。
無作為に抽出した100の文章中に現れる「時間量が少ない時間語」を調査した結果、元々時間性を持つ「ちょっと」、「しばらく」はそれぞれが修飾する動詞の種類が各々47の動詞、48の動詞とかなり多様な動詞を修飾していることが分かった。これは後続する動詞の種類がある程度持続性を持つ動詞であれば共起できるということを示している。また、韓国語の場合を見ると、‘잠깐’、‘잠시’が修飾する動詞を調査した結果、‘잠깐’が44の動詞、‘잠시’が59の動詞とかなり多様な動詞を修飾していることが分かった。これは ‘잠깐’、‘잠시’が「短い間」という時間の幅を持つ時間語であるため後に続く動詞が「ちょっと」、「しばらく」と同じようにある程度持続性を持つ動詞であればいくらでも共起できることを示している。また、‘조금’や ‘좀’も「時間的に短い」という意味を持つが、‘조금’と ‘좀’が
修飾する動詞を調査した結果、各々8の動詞と15の動詞しか抽出されなかった。‘조금’、‘좀’が短い時間量を表すためには ‘(시간이) 지나다’, ‘(시간이) 넘다’, ‘(시간이) 걸리다’, ‘늦추다’のような時間動詞を修飾することによってはっきりとした時間性を持つようにな
る傾向が強いことが分かった。この中で最も結合性の高いものは‘잠깐’と ‘기다리다’、
‘잠시’と ‘기다리다’、‘조금’と ‘있다’、‘좀’と ‘(시간이) 지나다’だった。また、日本語の場合は「ちょっと」と「見る」、「少し」と「待つ」、「少々」と「待つ」、「しばらく」と「する」が他の動詞よりも結合性が高いことが分かった。
次に設問調査を通して得られた日本と韓国の時間語に対する認識の差をまとめると次の通りである。
まず最初に「最近田中さんが亡くなりました(최근 다나카씨가 돌아가셨습니다)」に対する時間認識の結果は〈表1〉の通りである。
〈表1〉を見て分かるように、日本人と韓国人が共通して認識している時間は「一ヶ月以内」で、日本人が108名(全体の27%)、韓国人が105名(全体の26%)で類似した結果が出た。しかし、「一ヶ月以内」を基準に時間が増えれば増えるほど日本と韓国の差が広がっていった。日本人の「一ヶ月以内」よりも長く認識している人の数を計算すると211名(全体の53%)であったのに対し、韓国人は275名(全体の69%)であった。反対に「一ヶ月以内」より短く認識している人の数を見ると、日本人は189名(全体の47%)、韓国人は125名(全体の31%)という結果となり、韓国人より日本人の方が16%ほど多いという結果が出た。
次に「さっき友達から電話がかかってきた(아까 친구로부터 전화가 걸려 왔다)」に対する時間認識の結果は次の〈表2〉の通りである。
〈表2〉を見て分かるように、日本人が最も多く認識している時間帯は「10分前程度」で、119名(全体の30%)であったのに対し、韓国人が最も多く認識している時間帯は「1時間前程度」で、126名(全体の32%)であった。また、「30分前程度」以下の比較的短い時間帯を認識している人の数を見ると日本人は335名(全体の84%)、韓国人は152名(全体の38%)で、日本人と韓国人の認識の差が顕著に現れた結果となった。反対に、「1時間前程度」以上の比較的長い時間帯を認識している人の数は日本人が64名(全体の16%)、韓国人は243名(全体の61%)で、これもまた大きな差が出た結果となった。全体の平均値を見ると日本人は26分、韓国人は74分で47分もの差が出たことを見ると韓国人より日本人の方が「さっき」に対する認識が相当短いことが分かる。
次に「後で食べます(나중에 먹을게요)に対する時間認識の結果は次の〈表3〉の通りである。
〈表3〉を見て分かるように、韓国人が最も多く認識している時間は「今日の午前中」で、400名のうち162名(全体の41%)で、かなり高い比率であったのに対し、日本人が最も多く認識している時間は「今日の午前中」と「今日の昼」で、各々147名(全体の37%)、126名(全体の32%)であった。つまり、韓国人は「今日の午前」に集中しているのに対して、日本人は「今日の午前」と「今日の昼」と幅広く認識しており、また「拒絶」の意味として認識している人は日本人が82名(全体の21%)、韓国人が163名(全体の41%)と81名(全体の20%)もの差が出た。
次に「今電話に出ているから少ししてから電話してくれる?(지금 전화 받고 있으니까 조금 있다가 전화해 줄래?)」に対する時間認識の結果は〈表4〉の通りである。
〈表4〉を見て分かるように、10分を基準として1分までの時間を見ると、韓国人が日本人より認識する数が多いことが分かる。具体的には1分から10分までを認識している人の数を計算すると日本人は229名(全体の57%)、韓国人は321名(全体の80%)で、韓国人の方が日本人よりかなり早い認識をしていることが分かった。また、10分を基準として時間が多くなるほど日本人の方が韓国人より認識する数が増えることが分かった。15分から30分の間を認識している人の数は日本人が152名(全体の38%)、韓国人は79名(全体の20%)で日本人の方が韓国人より18%ほど遅く認識していることが分かった。全体の平均値を見ると、日本人は14分、韓国人は10分と日本人より韓国人の方が4分ほど早い認識をしていることが分かる。
次に「朝と聞くと何時から何時までだと思うか?」という質問に対する設問調査の結果は〈表5〉の通りである。
〈表5〉と〈表6〉を見て分かるように、‘아침’の始まりを4時と認識している韓国人の数は4名(全体の1%)であるのに対し、「朝」を4時と認識している日本人の数は58名(全体の15%)と日本人の方が韓国人より15倍多い結果となった。5時を見ても韓国人が41名(全体の10%)に比べ、日本人は155名(全体の39%)と、3.8倍もの差を見せているのを見ると日本人の方が韓国人より「朝」の始まりに対する時間の認識がずっと早いことが分かる。また、「朝」の終わりに対する結果を見ると、日本人が「朝」の終わりを最も多く認識している時間は9時で73名(全体の18%)という結果となり、韓国人が‘아침’の終わりを最も多く認識している時間も9時であったが、154名(全体の39%)という結果を見ると日本人以上に韓国人の‘아침’の終わりは9時だという認識が強いことが分かる。
「朝」と‘아침’の全体平均値を見ると日本人の「朝」の始まりに対する認識の平均時間は5時24分、韓国人の‘아침’の始まりに対する認識の平均時間は6時30分となり、約一時間ほどの差を見せた。また、日本人の「朝」の終わりに対する認識の平均時間は8時30分、韓国人の‘아침’の終わりに対する平均時間は9時12分、約40分程度の差を見せた。
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