本探讨では、日本人学習者のための韓国語中級教材の開発方案の提示を目標に探讨を行った。日本の大学において第二外国語もしくは教養科目として実施されている韓国語の授業で使用...
本探讨では、日本人学習者のための韓国語中級教材の開発方案の提示を目標に探讨を行った。日本の大学において第二外国語もしくは教養科目として実施されている韓国語の授業で使用する教材を対象にし、現在、文法律習中心で実施されている授業から、実際のコミュニケーション能力向上のための学習に比重を置き、学習者が自ら積極的に学習するようにする資料を併せ持った教材の方案を提示した。
探讨の措施としては、日本で出版された教材の中で、日本の大学の中級韓国語の授業で多く使用されている教材を五冊選定し、略论を行った。略论結果を通して、既存の教材が持っている長所および短所を整理し、長所を活かし短所を補完できる教材開発方案を提示した。日本での韓国語教材の開発探讨は、初級レベルの教材開発に対する探讨が大部分で、中級、高級へと学習が進んでいくにしたがって、学習者が選択できる教材の種類が少なくなる。また、中級で扱わなければならない学習項目に対する明確な指針がないため、教材によって扱っている内容が違うのが現状だ。
3章では、日本で出版された既存の教材の略论を行った。略论事項は、教授・学習状況の略论、教材の外的略论、教材の内的略论に分けて略论を行った。教授・学習状況の略论は、教師、学習者、学習時間に分けて略论を行った。教材の外的構成は、発行元、出版年度、関連構成物の有無、価格等を、教材の外的構成の略论は、全体構成、単元構成、学習内容、学習活動に分けて略论を行った。教材の長所としては、日本人の学習者が難しいと感じる文法項目について詳しい解説がある点、また、教材が一つのストーリーのように構成されており、テーマが学習者たちに馴染みのあるテーマを扱っている点だ。反対に教材の短所としては、全体的に教材に挿絵や写真がなく、学習していく中で学習者が飽きてしまう可能性がある点、文法の提示が多くスピーキングの練習が少ない点、教材毎に扱っている学習項目のレベルが違う点、授業時間内で教材にある内容をすべて学習しきれないくらい内容が多い点、教師による説明が多くなる傾向があり、教師中心の授業になる可能性が高いという点だ。
整理した教材の長所と短所をもとに、4章では教材の開発方案の提示を行った。まず、教材開発の原理と教材開発のための観点について調べた後、本稿で提示する教材の開発の方向を設定した。はじめに、挿絵や写真がない既存の教材よりも学習者の学習意欲を誘発することができるように、本文の会話文を中心に絵を利用した。第二に、文法項目の提示が多い既存の教材よりも、コミュニケーション能力向上のための学習措施を利用したスピーキング練習に比重を置いた。第三に、既存の教材は、教材によって扱っている語彙および文法項目が異なるため、本稿で扱う語彙および文法項目を提示した。第四に、既存の教材では、教材で扱っている内容が多く、授業時間内ですべてを消化できないという問題点を解決するため、授業時間を考慮し、課の数を設定し、教材の全体構成の例と教材で扱うテーマの例も提示した。文化教育にも比重を置くため、文化の要素も活用し、構成した。また、授業構成例と教材の単元構成例も提示した。
提示した教材方案を利用し、具体的にどのように実際の授業に適用するのかについて、5章で扱った。コミュニケーション能力の向上を目的とした教授法におけるスピーキング練習として、発音練習、文章単位でのシャドーイング、質問を聞いて回答、視覚資料を活用したスピーキング練習、情報の差異を補うためのスピーキング練習等を提示した。また、現在の日本の大学の韓国語の授業では、教師の発話が多い傾向があり、学習者が授業に、積極的、自発的に参加するようになるように、学習ポートフォリオを使用した授業を提示した。学習者が自身の学習過程を、学習成果物を通して自ら顧み、また自身の学習熟達度を評価しながら自身が理解できている点と理解できていない点、知識が不足している点がどういう部分なのかということを、考える機会を与える資料になるだろう。
本探讨で提示した教材開発方案は、既存の教材の文法中心の要素に、コミュニケーション能力向上のための要素を含め、また学習者が自ら学習過程をつくり上げていくという作業のための資料を提示した点において、中級レベル以上の日本人韓国語学習者にとって、学習の手助けになるであろう。
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